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さよなら、シロ

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7月の金曜日の夕方、城南運動場で、カラスに襲われそうになっている、白いメスの子猫を拾った。
生後2ヶ月くらいだったと思う。
家に連れて帰り、キャットフード、水、トイレ砂、寝床を用意した。
先住猫クロとは完全に隔離したが、彼女は警戒して「フーッ」と私を威嚇した。
積んであるダンボールの隙間に入ったきり、なかなか出てこず、餌にも水にも手をつけず、トイレにも行かなかった。

翌朝、キャットフードをお湯でふやかしたものと、猫用のミルクを追加した。
それでも、彼女は相変わらず。猫用の哺乳瓶でミルクを与えようとするも、拒否。
ただ、威嚇するのをやめたので、徐々に慣れつつあるんだ、と思った。

翌翌朝、身内の祝い事のためほぼ一日中外出し、帰宅後もばたばたしていた。
餌も、水も、トイレもそのままだったが、カーペットの上に寝そべる彼女はリラックスしているように見えた。

夜9時ごろになって家のことが一段落し、様子を見に行くと、彼女はミルクのお皿に片足を突っ込んでぐったりしていた。
慣れたのでも、リラックスしたのでもない。
弱っていたのだ。何故気づかなかったんだろう。

体が冷たかったのでタオルにくるみ、猫用のヒーターを寝床に入れてやった。
自力で餌を食べられないのでは、私がしてやれることはこれが限界だと思い込んだ。

夜10時、彼女の呼吸が小刻みになり、目の色がうつろになった。
そのとき初めて、スポイトで強制的に水を飲ませればいいことに気がついた。
クロに飲み薬が処方されたときに動物病院で貰ったスポイトで、温かく薄い砂糖湯を彼女の小さな口に少しづつ流し込んだ。
殆どは口の外に流れ出てしまったが、こくん、と、少しは飲んでくれた。

病院に連れて行こう、やっと決心したのは夜11時ごろ。
タウンページで夜間診療してくれる先生を探し、電話連絡し、車に乗せようとした時には、彼女は息をしていなかった。

死んだ彼女を連れて、病院に向かった。

先生から、

捨てられた子猫の死因の9割は、カラスに襲われることによるものであること、
保護したらすぐ病院に連れてくること、
餌を食べなければ強制的にスポイトでミルク等を与えること、

などを聞いた。

「綺麗な猫だね。残念だったね。でも仕方ないよ」
という言葉を聞いている私は泣きそうな顔をしていたと思う。

先生にお礼を言い、車に戻り、あいたままの彼女のまぶたを閉じてやった。

翌日、庭のアジサイのそばに彼女を埋めた。



確かに子供の世話、家の事で忙しくて、彼女の優先順位が低かった。
でも、カラスに食い殺されるよりはマシだったかもしれない。
動物病院は土日祝日夜間は診てくれない、という思い込みもあった。
誰かから聞いた「猫が自分から寄ってくるまで人間は手を出すな」「猫は1〜2週間飲まず食わずでも大丈夫」という言葉も記憶にあった。
すべては結果論、仕方なかったんだよ・・・・・・・と、自分に言い聞かせてはみるものの、自分を悪者にしないための言い訳にしか思えなくて、いまだに心は憂鬱だ。

見慣れない部屋で、不安の中で死を迎えた彼女のこと、私はずっと忘れないだろう。



2005.07.17 シロが天使になった日


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